OVERVIEW
この記事について
家族のお世話を担っている若者は、思っているより多くいます。この調査では15〜39歳の15.5%が「現在いる」または「過去にいた」と答えました。誰をケアしているのか、どんな属性の人が多いのか、そして生活満足度や孤独感が全体とどう違うのかを見ていきます。
この記事でわかること
- check_circle 家族のお世話をしている・していた人の割合
- check_circle ケアの相手と、ケアしている人の属性
- check_circle 生活満足度や自己肯定感が、全体とどれくらい違うか
出典: こども家庭庁「若年世代に関する総合的な調査」(令和8年度)
「お世話経験者(計)」は「現在いる」と「現在はいないが、過去にいた」の合計です。グラフでは重複を避けるため外しています。
「ケア対象者」は複数回答のため、合計が100%を超えます。
性別・年齢・就業形態は、お世話経験者(10,517人)のなかでの内訳です。
QUIZ
まずはクイズに挑戦
Q.
家族のお世話をしている・していたと答えた人のうち、「自分はヤングケアラーにあてはまる」と自覚している人はどれくらいでしょう?
ANSWER
クイズの答え
答え合わせ
正解は「約3割」でした。
31.8%、およそ3割です。「あてはまらない」が53.0%と過半数で、「わからない」も15.2%。実際にお世話をしていても、7割近くは自分をヤングケアラーだとは思っていません。支援の情報が届きにくい理由のひとつがここにあります。
ANALYSIS
データで詳しく見る
ヤングケアラーの実態
お世話の有無
- 現在いる 6.8% 4,641人
- 現在はいないが、過去にいた 8.7% 5,876人
- 現在も過去もいない 72.8% 49,448人
- わからない 11.7% 7,940人
ヤングケアラーの自覚
- あてはまる(あてはまっていた) 31.8% 3,344人
- あてはまらない 53.0% 5,574人
- わからない 15.2% 1,599人
ケア対象者
- 祖母 32.9% 3,460人
- 母 29.5% 3,103人
- 父 20.3% 2,135人
- 祖父 19.7% 2,072人
- きょうだい 13.6% 1,430人
- その他 11.4% 1,199人
性別
- 女性 60.5% 6,363人
- 男性 37.4% 3,933人
- その他 2.1% 221人
年齢
- 15-19 7.9% 831人
- 20-24 9.5% 999人
- 25-29 16.9% 1,777人
- 30-34 26.7% 2,808人
- 35-39 39.0% 4,102人
就業形態
- 正規の社員・職員 45.3% 4,764人
- パート・アルバイト 23.0% 2,419人
- 学生・生徒 9.6% 1,010人
- 無職 8.6% 904人
- 会社役員 0.8% 84人
- 自営業 4.5% 473人
- 家族従業者・内職 0.6% 63人
- 専業主婦・主夫 5.4% 568人
- 家事手伝い 1.2% 126人
- その他 0.9% 95人
n=67,905(「お世話の有無」のみ)。自覚・ケア対象者・性別・年齢・就業形態は、お世話経験者10,517人のなかでの内訳です。「ケア対象者」は複数回答のため合計が100%を超えます。 出典: こども家庭庁「若年世代に関する総合的な調査」(令和8年度)
家族のお世話をしている人は6.8%、過去にいた人は8.7%。合わせて15.5%、6〜7人に1人が経験しています。
ケアの相手は祖母32.9%、母29.5%、父20.3%、祖父19.7%の順。祖父母が半数を超える一方、親のケアも5割近くあります。
お世話経験者の属性を見ると、女性が60.5%、年齢は35〜39歳が39.0%ともっとも多く、就業形態では正規の社員・職員が45.3%。学生だけの問題ではないことがはっきり出ています。
生活満足度の分布(ヤングケアラー / 全体)
数値で見る
| 項目 | ヤングケアラー | 全体 |
|---|---|---|
| 0点(全く満足していない) | 6.2% | 5.1% |
| 1点 | 2.5% | 1.8% |
| 2点 | 5% | 3.8% |
| 3点 | 9.1% | 7.6% |
| 4点 | 8.7% | 8.1% |
| 5点 | 16.6% | 18.3% |
| 6点 | 13.6% | 13.9% |
| 7点 | 16.8% | 17.4% |
| 8点 | 11.7% | 12.9% |
| 9点 | 3.9% | 4.1% |
| 10点(非常に満足している) | 5.9% | 7% |
0〜10点の11段階。 出典: こども家庭庁「若年世代に関する総合的な調査」(令和8年度)
山の形はよく似ていますが、左側(満足していない側)がヤングケアラーのほうが高くなっています。0〜4点の合計はヤングケアラー31.5%に対し全体26.4%。5ポイントの差です。
逆に7点以上はヤングケアラー38.3%に対し全体41.4%。大きな差ではないものの、満足度は全体より低めに分布しています。
自己肯定感(ヤングケアラー / 全体)
数値で見る
| 項目 | ヤングケアラー | 全体 |
|---|---|---|
| 自分らしさというものがあると思う | 75.9% | 72.6% |
| 今の自分が好きだ | 50.6% | 50.6% |
| 自分自身に満足している | 42.7% | 43.6% |
| 自分は社会から支援され、支えられていると思う | 57.3% | 56.1% |
| 人生で行っていることには価値があると思う | 57% | 56% |
出典: こども家庭庁「若年世代に関する総合的な調査」(令和8年度)
自己肯定感の5項目は、意外にもほとんど差がありません。「自分らしさというものがあると思う」はヤングケアラー75.9%に対し全体72.6%と、むしろ3.3ポイント高い結果です。
「今の自分が好きだ」は50.6%で完全に同じ、「自分自身に満足している」は42.7%対43.6%とわずかに低いだけ。ケアの経験が、自己肯定感をそのまま下げるわけではなさそうです。
孤独・孤立感(ヤングケアラー / 全体)
数値で見る
| 項目 | ヤングケアラー | 全体 |
|---|---|---|
| 人とのつきあいがないと感じることがある | 19.7% | 18.8% |
| 取り残されていると感じることがある | 18% | 15.5% |
| 孤立していると感じることがある | 17.7% | 15.4% |
| しばしば・常に孤独を感じる | 14.8% | 13.6% |
出典: こども家庭庁「若年世代に関する総合的な調査」(令和8年度)
孤独・孤立感は4項目すべてでヤングケアラーが上回ります。「取り残されていると感じることがある」18.0%対15.5%、「孤立していると感じることがある」17.7%対15.4%と、2.3〜2.5ポイントの差です。
自己肯定感には差がないのに、孤独感だけ一貫して高い。自分を否定しているのではなく、分かってもらえる人が周りにいないという形で表れている、と読めます。
SUMMARY
まとめ
- check_circle 家族のお世話を経験している人は15.5%。6〜7人に1人
- check_circle そのうち自分をヤングケアラーだと自覚しているのは31.8%にとどまる
- check_circle 自己肯定感は全体とほぼ同じだが、孤独・孤立感は4項目すべてで高い
ケアを担っている人の多くは、自分がそう呼ばれる立場だと思っていません。だからこそ、支援も相談も届きにくい。まずは「それ、ひとりで抱えなくていいことですよ」と言える人が、身近にいるかどうかです。